ロッドビルドを通じて僕の学んだことをフィードバックします。
基本的には釣竿のことなんですが、バスロッドとして文中で扱った方がイメージが湧きやすいと思うのでそういうことにします。
バスロッドは部品を組み立てた完成品
よくバスロッドを語るのにブランクだけの性能が話題になります。
でも、バスロッドは複数の部品によって組み立てられた完成品であることを見落としてはダメなんです。
ロッドブランク、ガイド、スレッド、グリップ、リールシート、それらを接着するエポキシ。
それぞれが影響し合ってバスロッドが出来上がっているんです。
どんな小さな部品でも何らかの影響を与えています。
それぞれが組み合わさってバスロッドは出来上がっているのです。
ロッドブランク
バスロッドの性能の最大の特徴に直結するのはロッドブランクであることは間違いないです。
でも、このロッドブランクを生かすも殺すのもその他の部品。
ロッドブランクだけが絶対的な存在ではない。
テストがあれば間違いなく出題される部分なので頭に入れててほしいです。
ロッドブランクの構成物
ロッドブランクはカーボンシートを芯になる棒に巻いて熱で固めます。
カーボンシートも細かく言えばカーボン(グラファイトの粉)とそれを付着させる布と接着剤としてレジンという樹脂によって構成されています。
それぞれに技術的進歩の余地があり、より軽く高感度かつ操作性の高いロッドを生み出すために進化を続けています。
カーボンロッド(グラファイトロッド)
カーボンロッドは軽くて感度が高いことから現在のバスロッドの主流になっています。
弾性、引っ張り強度、さらに細かい素材の特徴でより一層の特徴が出ます。
弾性とは?
バスロッドを語る上で必ず耳にする弾性ですが、言葉で表現すると意外と難しい・・・
弾性とは、
物質が力を加えられたあとにその力を取り除いたら元の形に復元しようとする性質のことです。
わかりますか?難しいですよね。
どんなことかと言うと、高弾性はロッドが曲がったあと真っ直ぐの状態に復元するスピードが速く、低弾性だと逆に遅いということです。
画像はジャストエースさんから拝借しています
素材のトン数で弾性を区別することができて、この数字が大きくなればなるほど高弾性です。
具体的な数字だと、36トンで高弾性 30トンで特記なし。
これは、海外ロッドの説明文から拾ってきた数字です。
最近の日本のロッドはこういったマテリアルの数字を明かさない傾向にあるのかな?
僕がロッドビルドに使用したアメリカのMHX社もトン数を明らかにしていません。
メーカーが明らかにしない以上、弾性を数値で判断することはもう既にできなくなっていると言ってもいいでしょうね。
高弾性ロッド
高弾性に仕上げるには硬いカーボンシートを薄く巻いてブランクを作ります。
薄く巻くことで直径が細くて軽いかつ感度の高いロッドを作ることができます。
逆の言い方をすると薄く巻かないと曲がらない。
メリットとデメリットが紙一重のロッドになります。
薄く巻いても釣りに使える強度があるカーボンシートは良い素材(高いトン数)によってはじめて作れるものでいわゆる”新素材”系。
最先端のマテリアルと技術で作り出されるので高価になります。
高弾性のバスロッドは軽くて感度が高い一方で、薄く巻かないと曲がらないことから脆く傷や外部からの力に弱い傾向があります。
低弾性ロッド
低弾性に仕上げるには従来からある硬度(トン数)の低いカーボンシートを巻き上げてブランクを作ります。
カーボンシートの硬度が低いことと相まって強度を出すまでにシートを巻く厚みが増えます。
ブランク自体は従来からある素材で作るので比較的安価です。
低弾性のバスロッドは厚みが増えることでロッドブランクの重量が増え、また内の空洞が減少することで感度は下がります。
しかしブランクの厚みが増えることによって外部からの力に強くなっているのでしっかり曲げることができるのが特徴です。
しっかり曲げられるということはキャストが楽になりますし、バスのバイトにロッドティップがよく追従します。
釣りやすいロッドのイメージで間違いありません。
ただ、少し重いだけです(意味深)
中弾性ロッド
文字どおり高弾性と低弾性の中間の性質を持ちます。
グラスロッド
グラスロッドはカーボンロッドが登場する前に登場した素材のロッドとの認識を持っています。
昔の重い釣竿(他のジャンルを含む)はグラスで出来ていました。
僕個人の遍歴では竹ざお、グラス、カーボンと来ているので恐らくそういうことでしょう。
釣り人は常に軽くて感度の高いロッドを追い続けています。
その需要に応えるための市場は絶えず変化をしています。
グラスはその変化(進化)の過程で姿を消していった素材と捉えるべきでしょうね。
じゃあ、もう全部カーボンでいいんじゃない?ってことになりそうだけど・・・
でも「終わった素材」的な位置づけのグラスロッドですが、現代のバスフィッシングシーンでは生き残っています。
生き残るということはそれ相当の理由があってのことなのです。
グラスロッドの特性
よく曲がる
折れにくい
感度が低い
重い
素材が安い
と言ったところがグラスロッドの特性です。
ここからのメリットとデメリットとの取捨選択ですね。
グラスロッドが今日も使用されている最大の理由はよく曲がることです。
よく曲がるとはカーボンロッドよりもよく曲がると解釈してください。
クランクベイトの釣りなど、ずっとリールを巻いてルアーを動かしている釣りでバスがルアーにバイトしたとき、よく曲がるロッドはバスの口にルアーが納まりやすい。
また掛けたあとも魚が暴れるエネルギーを吸収してくれます。
魚のサイズが小さいこともあるけど、ロッドさばきに余裕があります。
こちらは高弾性ロッドでバスを釣ってる動画になります。
ロッドがグングンと魚の動きにつられる感じで動いててバラさないためのロッドワークは忙しいし、リフティングパワーが弱いのでバットに手を添えたりと大変です。
ロッドがグングンとバスの動きに反応しているところを見てもらえたらと思います。
上の動画のように堅いロッドだとルアーを引っぱる力が強くて弾いてしまうことがあったり魚がより暴れるフィーリングになります。
そういった技術だけでは克服しにくい課題を克服するための道具として今なおグラスロッドの需要があるということです。
弾性で言うなら低弾性カーボンよりまだ低弾性ってことになります。
なお、グラスにも技術革新があって「Sグラス」という素材が誕生しています。
しかしカーボン同様、軽くなるということは素材が薄く脆くなることを伴っています。
もうアメリカ市場はSグラス一色になってるんじゃないかと思いますが、そんな感じです。
はい。
コンポジット
コンポジットはカーボンとグラスの混合です。
グラスのよく曲がる特性が欲しいけど重いのは嫌だという釣り人のワガママに応えたアイデア商品です。
ロッドの先の方がグラスで胴の方がカーボンになる言わば素材のグラデーションです。
神様リック・クランはグラスロッドを愛用していますが、ケビン・ヴァンダム選手はコンポジットロッドを愛用しています。
各人に好みがあるってことですね。
ニンジン
お野菜の人参です。
新素材系のロッドに人参が使われています。
100%人参じゃないですよ?
それだとジュースになりますからね。
カーボンに一定以上の割合で人参が含まれているということです。
なんせ繊維たっぷりですから。
これがとっても軽いんですよ。
カーボンでは出せない軽さ。
どこまで繊細に作れるかまでは知りませんが、僕がマグナムクランクやビッグベイト用に使っているロッドがこの新素材系でして、有り得ない軽さで疲労軽減に役立っています。
どんどん拡がるかと思ったけどここ数年は伸び悩んでいます。
どうなるのか?
結果は既に出てしまったのか?
グラスがカーボンにその座を奪われたように新素材の台頭はあるのでしょうか?
より良い道具を使いたい釣り人の欲望に限りはありませんが、予算には限りがあるのでメーカー各社にはお手柔らかにお願いしたいところです。
最後に
ロッドブランクの特性についての記述が大半になりましたが、バスロッドは部品を組み立てた完成品です。
それぞれに特徴があって完全無欠な素材はありませんし、それぞれの部品の配置によって特徴は変化します。
ただ、素材によってコストが異なるのでどうしても価格の差は生じてしまいます。
ここが問題で日本の価値観だと価格が高い方がよりよい製品だと考えてしまいがちです。
普通は高い方がいいって思いますよね?僕はすぐにそう思ってしまいます。
でも、実際はそうではなくて適所適材とするために正しい判断基準をもってバスロッドを選ばないといけないんですよ。
巻きモノ派の人は安くついていいな~って撃ちモノ派の人は言うかもしれません。
でも、撃ちモノが主流だからそっちの製品がどんどん進化してるのかもしれませんし。
釣り人が軽くて感度の高いロッドを求める限り製品はどんどん進化していくことでしょう。
それに伴って価格もぐんぐん・・・
ですが、自分に必要な道具(バスロッド)ってどれなのか?
意外と最新の製品じゃなかったりするんですよね、難しいですよね
と、ロッドビルド1年目で得た知見をまとめてみました。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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